Q
夫の葬儀を終え、私も遺言を作りたいと考えています。
2人の子のうち,海外で資産を築いた長男には少なめに、病弱で独り者の次男には多めに遺産を残したい のですが,遺言がもとで兄弟が喧嘩しないか心配です。
私は2人への愛情に差はなく,ただ,次男の今後が気になり多く残したいだけです。
兄弟でもめないよう に、何か方法はありませんか。
Q
夫の葬儀を終え、私も遺言を作りたいと考えています。
2人の子のうち,海外で資産を築いた長男には少なめに、病弱で独り者の次男には多めに遺産を残したい のですが,遺言がもとで兄弟が喧嘩しないか心配です。
私は2人への愛情に差はなく,ただ,次男の今後が気になり多く残したいだけです。
兄弟でもめないよう に、何か方法はありませんか。
A
遺言の付言事項に息子さんたちへの思いを記載する方法をお勧めします。
1 法定遺言事項
遺言の記載に,法的な効力が認められるのは下記事項に限られます(法定遺言事項)。
(1)身分に関連する事項
認知(民法781条2項),未成年後見人の指定(民法839条1項,848条)等
(2)法定相続事項の修正事項
推定相続人の廃除と取消し(民法893条,894条2項),相続分の指定・指定の委託(民法902条),遺産分割の方法の指定・指定の委託(民法 908条),相続人相互間の担保責任の指定(民法914条),特別受益の持戻し免除(民法903条3項),遺留分減殺方法の指定(民法1034条但書)
(3)財産処分に関する事項
遺贈(964条),信託の設定(信託法2条)
(4)遺言の執行に関する事項
遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条)
(5)その他の遺言事項
祭祀主催者の指定(民法897条),生命保険受取人の指定・変更(保険法44条1項)
2 付言(法定外遺言)事項
法的な効力とは別に、遺言に上記以外の事項(付言事項)を記載することは自由です。付言事項に法的拘束力はありませんが、遺言者の気持ちや希望を遺族に伝えることができるものです。
遺言によって、法定相続分と異なる遺産取得割合を定める場合、遺言によって相続人間の争いや悪感情を誘発するリスクもあります。こうしたリスクを回 避するためには、遺言を作成した理由を、相続人同士が末永く円満に暮らして欲しいという願いとともに記載することは有益と考えられています
3 ご質問について
ご質問のケースのように、遺言で一部の相続人の取り分を減らすと,相続人間のトラブルを招く恐れがあります。しかし、質問者がこの遺言内容を決めた のには十分な理由があります。付言事項として、その理由をよく説明し、また、母からの最後のメッセージとして、2人の息子への変わらぬ愛情と,兄弟間の末 永い円満良好な関係を祈念する気持ちに言葉を尽くすことで、兄弟間のトラブル防止が期待できるでしょう。