このように、家業の後継者が相続人の1人であるケースというのはよくあります。そのようなケースで問題になるのは、その後継者の特別の貢献で事業が維持できたような場合や、小遣いを渡していた場合にそれを遺産分割にどのように反映させるか、という点です。
法律的には、後継者のそのような貢献は「寄与分」に該当する可能性があり、「寄与分」に該当すればその分多く遺産をもらえるということになります。
「寄与分」に該当するかどうかは、親子の通常の扶養義務の程度を越えているか、介護行為が「特別の寄与」と言えるかどうか、寄与によって被相続人の財産の減少が防げたかどうかなど複数の点が問題となります。
本件では、調停において会社の帳簿などを基に給与名目での支払いを裏付けました。また介護の具体的内容については、介護事業者や病院などから介護資料を全て取り寄せてその点について詳細に立証をしました。
その結果、寄与分全てではないものの、ある程度寄与分を織り込んだ調停を成立させることが出来ました。