遺言が有効と認められるためには①行為地法(遺言を作成した場所)、②本国法(遺言者が遺言成立時または死亡時に国籍を有した国の法)、③住所地法(遺言者の遺言成立時または死亡時の住所地の法)、④常居所地(遺言者の遺言成立時または死亡時の常居所地の法)、⑤不動産に関する遺言については不動産の所在地法のいずれかで適合することを要します(遺言の方式の準拠法に関する法律2条)。
海外在住日本人であれば、②本国法が日本法ですので,日本法に基づく遺言,すなわち自筆証書遺言や公正証書遺言を作成することが可能です。
ただしいかに日本法に基づく遺言が有効だといっても,日本語で書かれた遺言を米国の金融機関に持参したところで,ほとんどの場合スムーズに受け付けてもらえません。そこで日本の不動産については日本法に基づく遺言,米国の不動産については米国当該州法に基づく遺言を作成しておくことが,死亡後の手続きをスムーズに進めるうえでもベストといえます。
本件では,まず現地で自筆証書遺言を作成してもらい,その後日本に帰国されたタイミングで日本の公証役場で公正証書遺言を作成するサポートを行いました。