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当相談所の解決事例example of the solutions

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長年連絡が取れなかった相続人と交渉して遺産分割協議が成立した事例

長年連絡が取れなかった相続人と交渉して遺産分割協議が成立した事例

かなり以前に被相続人が死亡したが、相続人の1人と長年連絡が取れず、どのように遺産分割協議を進めたら良いかわからない。遺産の内容としては、時価2000万円程度の収益物件、500万円程度の預貯金、4000万円程度の事業性ローンがある。かなり利回りの良い収益物件なので、リスクはあるが当該収益物件を当方が取得できるのであれば預貯金全てを先方に渡し、ローンも全額自分が負担するということで良い。

事件の進行

依頼者の方の意向は上記のとおりでしたが、長年連絡を取っていないこともあり先方の意向が全くわかりませんでした。そこでとりあえずは、プラスの財産もマイナスの財産も全て当方が取得するという内容で先方には提案し、相手がそれに納得しなければ預貯金を渡すことにしてはどうか、ということになりました。
詳細な理由や資料を付した提案書を先方に送りましたが、1ヶ月以上返事がありませんでした。電話も通じませんでしたので、やむを得ず何度か手紙を送り、最終的には「応じてもらえなければ法定相続分どおりの相続になるので、ローンの半額である2000万円についてもそちらに負担していただくことになります。」という手紙を送ったところ、ようやく当方の提案に対して返事がありました。
交渉のきっかけが掴めたという意味では良かったのですが、無意味な質問や答える必要のない質問も多数含まれていました。
そこで依頼者と相談のうえ、回答を必要最小限に絞り、かつ同時に貯金の一部のみを渡すという譲歩案を合わせて提案し、それを最終提案としました。
その結果、先方でもいろいろ考えたのでしょう、さらに返事があり、最終的には当方提案どおりの内容で遺産分割協議が成立しました。

弁護士からのコメント

この事案のように、相続分野の紛争においては,長年音信不通の相続人がいることがかなりあります。そのような場合、いきなり高圧的な手紙を送ったり、「この協議書に署名捺印してください」と協議書を一方的に送りつけてもうまくいくことはありません。
本件の場合、最初から「この提案はそちらにとってもメリットは大きいと思われます。」という手紙をかなり詳細な理由や資料も付けて送りました。途中少しやりとりはありましたが、最終的に調停に至らずに遺産分割協議が成立したのは、このような丁寧なやりとりが功を奏したのではないかと思われます。

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